2004年 フランス・イギリスくるま事情

イギリス コッツウェルズ地方の村で見かけたMG-B、風景にぴったりでしょう。


フランス、イギリス共に世界有数の自動車生産国。さぞかしフランスにはフランス車、イギリスにはイギリス車があふれているのだろう、と勝手に想像していたが、半分当たりで半分はずれであった。
フランスという国(あるいは国民)は、デザインなどは先進的なものを好むくせに、その実保守的な面が多く車も例外では無い。高速道路で見かける大型トラックは90%近くがルノー製。色も白色が多くなんともワンパターン。車は”足”がわりであり、動けばいいと思っている方が多いせいかフランスでは維持費の安い国産車が圧倒的に多い。
イギリスは事情が異なり、国内に外国メーカーの自動車工場をたくさん抱えている。それで外国車がたくさん走っている訳。また車を”家具”と考えているのか、大事に長く使う方が多いようだ。勝手な想像だが丈夫なドイツ車が多かったのはそんな理由ではと思った。

ルーブル美術館の前で見かけたオープンバス。サッカーワールドカップで優勝パレードをやったあれ。この寒いのに2階の先頭で頑張っている人がいたのにはビックリ。



パリ環状線へ入るランプウェイ。フランスの高速道路はイタリアと同じく有料だが、この環状道路やパリ市内から30km位までは無料。どこかの国も見習ってほしいものだ。なお、イギリスの高速道路はほとんど無料とのこと!!!



コンコルド広場からシャンゼリゼ通りへ入ろうとする車の群れ。遠くにエッフェル塔が見える。渋滞のため20分くらい一寸ずり。ちょっとでもすき間をあけるとパリっ子は遠慮なく突っ込んでくる。よくこれで事故にならないもんだと感心する。



この日我々が乗ったマイクロバス。シャンゼリゼ通りはイルミネーションが輝き、実にきれい。片側5車線の広い道なのだが、大渋滞が起きていた。



モンサン・ミッシェルへ向かう途中の高速道路で恒例?のバスを追い越して行く乗用車のカウントを行う。結果は下記のとおり、フランス車の圧勝であった。

12/29 フランスA13号下り線 AM10:00〜12:00までバスを抜いて行った乗用車

メーカー 車種 台数 - メーカー 車種 台数
シトロエン C3 - オペル コルサ
C5 - ザフィーラ
イグザンティア - VW ポロ
サクソ - ゴルフ
その他 16 - パサート
プジョー 106 - その他
206 16 - ボルボ V40
307 - V70
406 - 独フォード? フォーカス
その他 - フィエスタ
ルノー ツィインゴ - ヒュンダイ
クリオ - トヨタ レクサス400
セニック - セリカ
メガーヌ 14 - スターレット
ラグナ - その他
エスパス - 日産 ミクラ
その他 19 - ホンダ シビック
フィアット プント - 三菱 ショウグン
ムルチプラ - スバル
アルファロメオ 156 - スズキ
ベンツ - ダイハツ
- いすゞ
-
- フランス車 126
- イギリス車
その他 - イタリア車
BMW - ドイツ車 44
- スェーデン車
アウディ A3 - 韓国車
A4 - 日本車
A6 - 合計 181
その他 -
パリから離れるに従い道はどんどんすいてしまったので、若干正確さに欠けたきらいはあるが、フランス車の圧倒的勝利。フォード車がドイツ製なのかイギリス製なのかいまひとつ解らないが、ドイツ製だとするとイギリス車は”0”となり、お墓の中のナポレオンが喜びそうな結果である。
この結果から推理すると、フランス人の3/4は車なんて動けばいい、そして1サンチームでも経費のかからない安い車を求めているようだ。しかし、残り1/4は多少でも車にこだわりを持つ人かなと考えられる。
輸入制限を受けている日本車はこんなものだろう。しかし、イタリア車は一体どうしたんだ。

モン・サン・ミッシェル近くのクッキー工場にフェラーリがいた。どちらかといえばボロ車や安ぐるまの多いフランスではかなり目立つ。じいさんがドライブしていたが、ホイールスピンはいただけませんねぇ。



モンマルトルの街角に停まっていた年代物のスポーツカー、何かの雑誌で見たような気がするのだが知ってる方教えて。
と、言っていたら、親切な方から情報がすぐに入りました。マーコス・ミニGTという1966年に発売された英国製のキットカーだそうです。秋田のスズキさんメルシィー。



これがフランス流駐車方法。バンパーは前の車を押すために存在する。そして、ボディはへこむために存在する。



ホテルのロビーから現場を目撃。子ども連れの30代のご婦人の乗ったルノー・ツィンゴ。駐車違反のキップにもめげず、後ろのフィアットをバンパーで押してそのまま立ち去った。まさに”当て逃げの街”パリ。



ホテルから北駅へ向かう渋滞道路。パリではこれが普通だという。



道ばたにはホンダ・プレリュードがチョコンと停まっていた。



ロンドンからコッツウォルズ地方へ向かう途中の高速道路で、またまたバスを追い越して行く乗用車のカウントを行う。写真のとおりイギリスは日本と同じ左側通行。フランスと比較して運転は大人しい感じ。

12/31 イギリスA40号下り線 AM9:00〜11:00までバスを抜いて行った乗用車

メーカー 車種 台数 - メーカー 車種 台数
ローバー ランドローバー - フィアット プント
その他 11 - ムルチプラ
ジャガー - ベンツ
アストンマーチン -
ボグゾール コルサ? - CLK
アストラ? -
その他 -
MG MGF - BMW
英フォード エスコート -
Ka -
シトロエン C3 - 新ミニ
クサラ - アウディ A3
サクソ - A4
プジョー 106 - A6
206 - オペル コルサ
307 - アストラ
406 - VW ポロ
ルノー ツィンゴ - ゴルフ 17
クリオ - パサート
セニック - 新ビートル
メガーヌ - その他
ラグナ - ボルボ V70
その他 - セアト
トヨタ ヤリス - 三菱 ショウグン
レクサス400 - スバル BH
エスティマ - インプレッサ
タコマ - いすゞ トルーパー
ランクル80 - スズキ ワゴンR
セリカ - ダイハツ
その他 -
日産 プリメーラ - 英国車 43
サファリ - フランス車 37
ホンダ シビック - イタリア車
アコード - ドイツ車 65
CR−V - スペイン車
マツダ ファミリア - スェーデン車
ミアタ - 日本車 34
- - - - 合計 190
意外なことに、一番はドイツ車、とくにVWゴルフが多かった。反面イタリア車が少なかったということは、イギリスでは車は家具と同じで、とにかく丈夫で長持ちすることを重用視しているのかも知れない。
イギリスには日本車の工場がいくつかあるので、街中でも結構見かけた。なお、ヤリス=ビッツ、レクサス400=セルシオ、タコマ=サーフ、ミアタ=マツダロードスター、ショウグン=パジェロ、トルーパー=ビッグホーン、ミクラ=マーチのことである。
なお、フランス・イギリス共に共通することはほとんどがMT車。ヨーロッパは涼しいのでエアコンがついていない車も多いようだ。走り方はフランス人はラテン系でエキサイティングな走行が多く、ロータリー交差点などは絶対ゆずったりしない。高速道路の車間距離もちょっと開けるとすぐつっこまれる。それでいて3日間で事故は見ていないので暗黙の了解が出来ているのだろう。
イギリス人はルールを良く守り、信号や横断歩道もきちんと止まる。田舎道で前に遅い車が走っていてもめったに追い越したりしない。さすがは紳士の国だ。

ストラッドフォード・アボン・エイボンで見かけた正しい?スマートの停め方。でもパリではボコボコにされるから、やめたほうがよい鴨。



あ、グレーのEPだ!なつかし〜。



ナンバープレート左側にある青い帯は上にECのマークである星をあしらい、下にその国の記号(イギリスならGB)を入れるのだ。



バッキンガム宮殿で騎馬隊が通過したあとやってくるのが、この清掃車。



アビーロードからセント・ジョーンズ・ウッド駅まで戻るなんでもない道。



イギリス国会議事堂の裏側。とくになにも無いが、クリオの向こうに新ミニがいる。BMW製だが結構イギリスの皆さんは喜んで乗っていた。



静かな裏通りに突然現れるスリーピング・ポリスマン。駐車車両も無いところを見ると学校か病院でもあるのだろうか。



トラファルガー広場の石のベンチに腰掛け、ボンヤリと周りを眺めていた。名物の赤い2階建てバスやロンドンタクシーが行きかう。どちらもついに乗れなかったが今度ゆっくり来たときには乗ってみよう。まあ、フランスではよした方が良いレンタカーもここなら大丈夫みたい。だって左側通行だし、標識も英語じゃん。
たかが車、されど車とはよく言った言葉で、その国で一般的に使われている車を見ると、経済力や国民性、文化レベルなどがわかってしまう。イギリス人にとって車は大事な家具である。イタリア人にとっては人生をエンジョイするための手段である。そしてフランス人にとっては足代わりであり、さらには、車なんてもう飽きた!と思っている人が少なからずいるような気がする。
車そのものは日本車もそうとう良くなっている。世界に誇れる車もある。しかし、その素晴らしい車を何処で、どうやって、どういうふうに、何に使うかといった面に関しては残念ながら日本は東南アジアや中国とさほど違わないような気がしてならない。
ヨーロッパで自動車が発明されてから百年以上経つが、車そのものより、車の使い方ひとつ見ても、やはりヨーロッパは自動車先進国だなと妙に納得してしまうchiaki-kであった。

2004.1/17 chiaki-k 記す


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