2009年 中国くるま事情

西安市内の信号機のない交差点。直進車、左折車、右折車の仁義なきバトルが毎日行われている。写真には写っていないが、車の間のわずかな隙間をバイク、自転車そして歩行者がすり抜けて行く。横断歩道などあって無いようなもの。

マイカーブームの到来

11年前、上海・蘇州を訪れたとき、自動車はバス、トラック、タクシー、社用車(我々を乗せた車がこれ)と一部のお偉いさんが乗る高級車(公用車)ぐらいしか走っていなかったのが、この変わりように驚いた。あのとき洪水のように通りを埋めていた自転車がめっきり少なくなり、バイクを含めて自動車が主役に取って代わっていた。
中国政府の発表によると2009年8月の中国の自動車生産台数は113万台を越え、年間では1300万台になる見込みで、100人に1.5台の割合で普及するとのことである。中国の人口は13億人なのでこの率で換算すると1950万台となる。と、いうことは単純計算で、この1年で66%増加するということになる!
中国国内には300社~800社?という自動車メーカーが乱立し、丁度、自動車創世記の欧米と似ている。主要なメーカーは5社で第一汽車(自動車のことを汽車という・トヨタ、ホンダと合弁)、上海汽車(VWと合弁)、東風汽車(シトロエン・プジョーと合弁)、長安汽車(スズキ・フォードと合弁)、奇端汽車(韓国車と合弁)で皆沿岸地域に工場を持っている。

コピー車の氾濫

笑い話をひとつ。ある大富豪が青いキリンを世界中に求めた。イギリス人は文献をあさり、アメリカ人は世界中を探し、日本人は品種改良の研究をした。中国人はどうしたかというと、青いペンキを買いに行った。
5社以外の中小のメーカーは開発費を浮かせるため、もっぱらコピー車ばかり製造するのでコピーされたメーカーからの訴えが引きも切らない。しかし知的財産権意識の低い中国では訴えても勝つとはかぎらない。(裁判官にも賄賂は有効) 結局、この国特有のハイリスクとあきらめざるを得ないようだ。有名な話だが、ホンダの場合、ついにたまりかねてそのコピー会社と手を結んでしまったという。
特にトヨタ車は人気のあるコピーネタで、ランクル、ハイラックス、ハイエース、コースターなどのコピー商品が巷にあふれている。詳しくはこちらのHPを参照のこと。
さらにややこしいのは、コピー車を購入したユーザーはバッジを本物に交換してしまうので、ますます解らなくなってしまうとのことである。まあ、造るほうも造るほうなら、買う方も買う方である。
中国の人気TV番組に骨董品などを真贋鑑定する人気番組があり、偽物と判断されるとその場でたたき割ってしまい、本物と信じて大金をはたいた人はショックで立ち上がれなくなってしまうそうだ。視聴者はそれを見て楽しむわけだが、まあ、偽物は中国のひとつの文化?なのかも知れない。

交通ルールは上の誰かが決めたもの

11年前の上海で見たものは、信号など全く無視して道路を横断する歩行者の群れ、そして自転車の洪水だった。そのときふと思ったのが、もし、中国にマイカーブームが起きて、この皆さんがハンドルを握ったら大変なことになるぞ、というもの。そして、今、それが現実のものになってしまった。
中国という国は、たくさんの国が興き、滅んでいった長い歴史を持っている。そんな歴史の中で人々が覚えたのは法律なぞといういうものは上に立つ人が勝手に造るもので、その人(国)が替わればすぐに替わってしまう。つまり中国という国は「法治国家」では無く「人治国家」なのだ。
さらに有名なせりふが「上に政策あれば、下に対策あり」というもので、中央政府が熱心にあれをやれ、これをやれといっても、地方政府はこれを無視したり、抜け道を探したりするお国柄である。と、いうことで誰が決めたかわからない交通ルールなぞというものは、ほとんど守られていないのが現実である。

交差点その1、11年前に上海でたくさん走っていた三輪車もまだ健在だった。



公安車両、メーカー不明。



スズキ・キャリーのようだが、よく解らない。ナンバー無し。



これはスズキ・スイフトのようだ。ナンバーが着いていないが書類を所持していれば良いらしく、結構この手の車が走っていた。それにしても汚い。



交差点その2、横断歩道を人が渡っていてもお構いなし。



これが我々を3日間乗せてくれたツアーバス。ゴールデンドラゴンといネームが着いていたがメーカー不明。



交差点その3、婦人公安(警官)も結構見かけた。右手前にランドクルーザープラドがいるが、これだって本物かどうか解らない。



市内の信号機には残りの秒数を表示するものもある。これは良いかも。



バイクは皆ノーヘル、リヤカーとは珍しい。



中央はトヨタ・ラブフォーらしいが、↑に書いたとおり偽物っぽい。右側にある古いカムリはたぶん本物。なお、中国では80年世代にSUVが人気だそうだ。



少数派だが軽トラックも走っていた。これもメーカー不明。



プジョー307、これは本物っぽい。80年世代の女性に人気だとか。



シボレーのバッジが着いているが何とも。



第一汽車製のトヨタ・クラウン(たぶん本物)は結構見かけた。手ぶれでごめん。西安は1年を通して西から黄砂がまってくるので、どうしても埃っぽくなってしまう。また、水道事情が悪いこともあり、ベンツやポルシェなどの高級車もこんな感じだった。



シトエンらしいマークをつけたタクシー、運転席後部の縦格子は犯罪防止のため。なお、西安のタクシーはほとんどこのデザイン。メーターが着いており初乗りは6元。空港までは120元だそうだが帰りの分として半額請求されるという。



バスを待つ西安市民、排気ガスで喉をやられる人が多いようだ。



マツダ・デミオ、これは間違いなさそう。



清掃車も動いていたが、とても降り注ぐホコリには追いつかないだろう。



旅行記にも書いたが、社会主義国で有料道路とは解せない。



これといって特徴の無い高速道路ジャンクション。



飲酒運転禁止の標識、この国にも飲酒運転はありそうだ。

なんでもあり!

一方通行のランプウェイを逆走してきたトラック、写真をよく見るとトラックのドライバーは煙草を吸っている。トラックとすれ違っているのは偽物ハイエース。全く、この国にはなんでもありだ!
なお、左に写っている中国人ガイドさん、このめちゃくちゃな交通ルールに関しては全くノーコメントだったのが気になる。以前からこうだったんで気にもしていないのか、言いたくないのか、言うなと言われているのか、今となってはわからない。

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