2011年 香港・マカオ く る ま 事 情

アバディーン地区で見かけたトヨタ・アルファード。中流階級の香港人にとってアルファードはあこがれの車。
ただし、新車で購入するには1000万円位必要!


プロローグ

香港は1997年に中国に返還されたのだから街を走っている乗用車は半分くらい中国車だろうと思っていたらその予想は見事にはずれた。中国車はおろか韓国車も見かけない。バスの車窓や街の歩道等から注意深く道路を見ていたが、8割くらいが日本車で、それ以外では、ベンツ、BMW、アウディ、ポルシェ、ミニなどの ドイツ車、フェラーリやマセラッティなどのイタリア車、ジャガー、ロールスロイス、ベントレー、そしてアストンマーチンといったイギリス車も普通に走っていた。

 格差社会

香港では自動車を生産していないので、道路を走っている車は全て輸入車。そして自動車にはその車の金額に応じて「初回登録税」という税金が課税されている。まず、最初の150,000H$に40%、次の150,000H$に75%、次の200,000H$に100%、それ以上については115%という結構な金額が。
たとえば、上の写真に写っているトヨタ・アルファード350G・Lパッケージ2WDを日本で購入すると4,500,000円+500,000円(税金等)となるが、1H$=10円として車両代が450,000H$、初回登録税が 150,000H$×40%+150,000H$×75%+150,000H$×100%=322,500H$。自動車税、保険代(金額は不明)、さらにはナンバー取得に100,000H$くらい必要になり、また、土地の少ない香港では駐車場代も東京23区内より高い。
結局、なんだかんだで1,000,000H$(1千万円)位の出費が必要となり、それなりの収入が無ければ、自家用車などとても所有できたものでは無い。その分、地下鉄、バス、タクシー等、公共の交通機関が安く利用できるので、郊外の安アパートに住んでいる一般市民には車は不要なものかも知れない。
まあ、上流階級の人は高級欧州車を、中流階級の人は日本車を、それ以外の人はバスかタクシーを選択すれば良いという格差社会である。

香港の街で見かけた、くるま達

我々を運んでくれたツアーバス。トヨタコースター。



的士とはタクシーのこと。ちなみに料金は最初の2kmまで18H$、その後、メーターが70.5H$以下の場合は200mごとに1.5H$ずつ、70.5H$を超えると200mごとに1H$が加算される。なお、車種はほとんどがクラウン・コンフォートで、香港島や九龍半島の地下鉄の走っている地区はこの赤色。(新界地区は緑、ランタオ島は水色)



ネイザンロードを走る2階建てバス。これも狭い土地に沢山の人が住む香港ならではの智恵か。料金は距離により3.5H$~18H$といったところ。支払いは現金かオクトパスカードで。バスのメーカーは不明だが、ボルボ等欧州製が多かったような気がする。



2階席はイタリア旅行以来だったが、見晴らしが良く快適。



三菱アイミーブを1台だけ見かけた。香港やマカオのように国土の小さい国には電気自動車がピッタリかも。



宿泊したホテルの裏道に駐まっていたスバルR2。香港で日本の軽自動車は珍しい。中流階級の人は1500cc以上のセダンかミニバンを好むが、嗜好が変わってきたのかそれとも一般庶民の収入が増えて、軽自動車なら持てるようになってきたのかわからない。



プリウスは結構見かけた。最近タイで生産を始めたそうだ。



香港コンベンションセンターの駐車場に停まっていたアコードにパジェロ。
このように、香港はどこもかしこも日本車だらけで、ちょっと嬉しくなった。

マカオの街で見かけた、くるま達

マカオは香港と違いバイクの利用者が多い。ベトナムを思い出す。歩道にゴミが落ちていないのは立派。



バイクの車種はホンダ、スズキ、ヤマハ、カワサキ等の日本車が多いようだ。なお、左下の車はトヨタ・エスティマ。



セドナ広場近くに並んでいたタクシー。これまたほとんどがトヨタ車。車種は海外専用のトヨタ・ヴィオスか。



新ヤオハンデパートの前。青い車はマツダ・デミオ、赤い車はトヨタ・イストか(海外名解らず)。このようにマカオも香港と同様、日本車のオンパレード。

再び香港へ

話題は香港へ戻るが、これが宿泊したホテルの玄関。玄関前に高級車がずらりと並んでいる。



ベンツのリムジンとは珍しい。さらに珍しいのが「DB」というカーナンバー。



ベンツの隣には磨き上げられたロールスロイス・ファントムが飾ってあった。ナンバープレートが2種類付いているが下が香港のもので、上は中国大陸用。つまりこの車なら上海でも、北京へでもこのまま走っていける。
なお、香港のナンバープレートは車に付属するものでは無く、所有する個人に帰属する。つまり個人が車を買い換えた場合、プレートを外して、そのまま次の車に取り付けできる。そして売買も可能で、縁起のよい番号とか、珍しい番号のプレートは高値で取引されている。(場合によっては一億円!)

エピローグ

今回の旅行は、香港に1.5日、マカオには21時間滞在しただけの駆け足ツアーだったので、ほんの1%程度しか街を見ることはできなかった。それでも、どちらの国(特別行政区)も今、バブル景気のまっただ中にあることは理解できた。
香港島や九龍、そしてマカオの海岸地帯は次々と埋め立てられ、ニョキニョキと高層ビルが建てられている。また、九龍地区には新幹線駅が、そしてマカオと香港間には長大橋の建設工事も始まっていた。
大量のチャイナマネーが香港やマカオになだれ込んでいるのが原因であるが、そのため土地やマンションなどの不動産が高騰し、つられて物価も上昇しているという。また、マカオも昨年、経済成長率15%を達成したが、主な原因は、バクチ好きな中国人によるところが大きいようだ。
この好景気がいつまで続くのかは神のみぞ知るだが、好むと好まざるにかかわらず、今、世界の経済は中国とリンクしている。今後、中国・香港・マカオが何処へ行くのか、世界はその動きを固唾をのんで注目する日々が続くことであろう。

新幹線

車とは関係ないが、新幹線ネタをひとつ。香港のことならなんでも自慢する旅行ガイドのPさんが中国版新幹線・高速鉄道の話にふれたとき、「私はこんな鉄道には怖くて乗れない」と言っていた。
旅行から帰って1週間後、7月23日夜に浙江省温州市で高架線路上に停止した列車に、後続の新幹線列車が追突するという日本では考えられない事故が発生した。その後の経過はTVニュース等でご存じのとおりで、結局、この国では人命より国家のメンツが優先することを内外に知らせる結果となった。

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