2011年 マレーシア く る ま 事 情

キャメロン・ハイランドでは、古いレンジ・ローバー・トラックがバリバリの現役


マレーシア車について

高度経済成長を続けるマレーシアには国産車がある。代表的なメーカーはプロトン。マハティール元首相の国産車構想の元、政府のバックアップによって設立された国策自動車メーカー。
1983年、政府資本のHICOMと三菱自動車、三菱商事が資本金を出し合いプロトン社を設立、1985年に2代目三菱ランサー・フィオーレ(ミラージュの4ドアセダン版)をベースとした「サガ」をラインオフ。その後4代目ランサーをベースにした「ウィラ」を、さらに「サトゥリア」、「ワジャ」、「ペルダナ」などの中型車や高級車も製造するようになった。1996年にはイギリスの名門ロータスを買収、三菱からの独立を目指し「ゲン2」などを発売する。
プロトン・サガ



もうひとつのメーカーはプロドゥア。1993年にダイハツ工業とマレーシア資本との合弁会社で、スモールカーを専門に製造・販売する自動車メーカー。
当初はプロトンが小型車以上を、プロドゥアはダイハツミラやムーブをベースにしたスモールカーを製造していたが、2005年に同じようなセグメントに属する車種(プロトン・サヴィとプロドゥア・マイヴィ)が両社から相次いで発売され、この勝負はプロドゥアの圧勝(マイヴィ(旧トヨタ・パッソがベース)は2006年~2008年のマレーシアン・ベストセラーカー)となり、その結果2006年にはついにプロトンを抜いてマレーシア市場最大手に踊り出た。
プロドゥア・マイヴィ



その後、やや分が悪くなったプロトンだったが2008年に23年ぶりに「サガ」をフルチェンジ、一時冷え込んでいた三菱自動車とも連携を再強化するなどして巻き返しをはかっている。
プロトン・サガFL



マレーシアの人口は2800万人と少なく、給与水準は日本の1/2程度。一度購入すると長期間乗り続ける人が多く、買い換え需要は、なかなか起きてこない。そこでシンガポールやタイなどの隣国や、欧州などへ輸出しているのだが、日本車や韓国車との競争に打ち勝つのは容易ではない。
なお、2011年の夏、ついに日本での販売が決定。車種は「サトリアネオ」というFFスポーツ車で、輸入販売する会社は日本のモータースポーツシーンを彩ってきた「キャロッセ」。ラリー車改造費込みで300万円程度とのうわさである。

輸入車について

マレーシアは国内産業保護の為輸入車にかかる関税は高率である。また、関税以外にも物品税が高く日本からレクサスIS250Cを輸入すると432,000RM、すなわち1,296万円!!!となる(2010/3現在)。日本では495万円だから倍以上の値段。だが、そんな超高級車を買える人達がいるのも事実である。
まあ、レクサスは高級車なので仕方ないが、ヤリスクラスでも200万円、カムリクラスだと500万円位になってしまう。しかし、KLでもペナンでも輸入車はたくさん走っており、その中で、もっとも目についたのはトヨタを筆頭とする日本車、次いでドイツ車、そして韓国車といったところであった。

K L

KL(クアラルンプール)の朝は早い。7:00には街の中心部へ向かう車のラッシュが始まっている。



公共交通機関がまだ少ないKL市内中心部はこんな感じ。



独立広場前に停車中の我々を1週間運んでくれたハイエースと現地ガイドさん。バンタイプ、しかもショックが抜け気味だったので結構突き上げが激しかった。



これがプロトン・サガ。23年間マレーシア国民に愛された国民車。街を流しているタクシーもほとんどこれ。ベースは2代目三菱ランサー・フィオーレ(ミラージュの4ドア・セダン版)。



2006年~2008年のベストセラーカー、プロドゥア・マイヴィ。ベースはトヨタ・旧パッソ。価格は43,000RM≒130万円と庶民でも手が届く。

E 1

マレーシアの高速道路E1の入口ゲート。青い看板が下がっているゲートがETC。中国と同じで利用者は少ない。私たちのハイエースも現金払いであったが、高速へ入るときにゲートで4RM支払った。なお、料金所の係員はすべてスカーフをかぶったモスリムの女性であった。(写真無し)



マレーシアの道路は左側通行で車は右ハンドル(左ハンドル車は禁止)。高速道路の建設にあたっては日本の企業が関与している為、IC、JC、SA、PAなど全て日本そっくり。看板の色まで同じ。周りを走っている車も日本車か日本車をベースにした車なので、日本の高速道路を走っているような奇妙な感じを受けた。



KLからイポーやペナン方面へ向かう高速道路は平地の走行が多いのでトンネルは少ない。道の両側はアブラヤシのプランテーションが延々と続く。なお、速度制限は110km/h。(一般道路は70~90km/hで日本のように一律で無い)



トイレ休憩したPA。緑がいっぱい。SAにも駐まったが、フードコートが充実していた。



2時間ほど走って9.7RM支払う。入るときと出るときの合計で13.7RM≒410円。安~い。
ガイドさんの話によると高速道、一般道とも出来たばかりは快適だが、メンテナンスが悪いので数年後に陥没したり、橋の部分が盛り上がったりして、よくはねるとのこと。確かに一般道の橋の手前でドライバーさんがブレーキを踏んでいたのが印象的。

E1でハイエースが抜いたor抜かれた車

CASE1
 4/14  14:00-15:00   E1  
 マレーシア車  プロトン  19 27 
 プロドゥア  8
 日本車       トヨタ  14 21
日産   2
 ホンダ  3
 三菱  2
 マツダ
 スズキ  0
 ドイツ車    6
 フランス車    0
 その他欧州車    1
 韓国車  ヒュンダイ   1
 キア  1
 その他韓国車
 米国車  0  0



CASE2
 4/15  14:00-16:00   E1  
 マレーシア車  プロトン  50 71
 プロドゥア  21
 日本車       トヨタ  34 63
日産   12
 ホンダ  12
 三菱  3
 マツダ
 スズキ  1
 ドイツ車    12 15
 フランス車    0
 その他欧州車    3
 韓国車 ヒュンダイ   1
   キア  4
   その他韓国車
 米国車  2  2



CASE3

 4/17  10:00-12:00   E1  
 マレーシア車  プロトン  21 28
 プロドゥア  7
 日本車       トヨタ  13 19
日産   2
 ホンダ  2
 三菱  1
 マツダ
 スズキ  1
 ドイツ車    9
 フランス車    0
 その他欧州車    0
 韓国車  ヒュンダイ   1
 キア  2
 その他韓国車  0
 米国車  2
税制面で有利なマレーシア車がトップなのは当然だが、日本車の存在が群を抜いている。その中でもトヨタ車は60%位の比率でトヨタの底力を感じる結果となった。

キャメロンハイランド

キャメロンハイランドで見たタイから走ってきたハイエース。これらのハイエースは、どうもタイで製造しているらしい。



非舗装の急峻な山道が多いキャメロンハイランドでは、こんな古いレンジ・ローバートラックが現役で働いている。



輸入された三菱ランサーGT。恐らく500~600万円はするのでは。



23年ぶりにFCされたプロトン・サガFL。ロータスとの共同開発車。価格は53,000RM≒160万円と安く、結構走っていた。

ペ ナ ン

ペナンブリッジの料金所。料金は12RM≒360円。写っている車は日産GRAND LIVINA というミニバン。



ジョ-ジタウンの中華街をトライショーで進むが前方にはダイハツ・ミラならぬプロドゥア・カンチルが。



マツダMPV発見。これも輸入車だが700~800万円位するのでは。

一般道にて

GSでトイレタイム。ベンツSタイプは新車だと2000万円位しそう。



マレーシアの民族資本であるペトロナスのGS。ちなみにマレーシアではガソリンは非課税でレギュラーが1.9RM/L≒57円/L、ハイオクが2.5RM/L≒75円とのこと。う~ん、うらやましい。



トヨタ・レクサス3000GS。



トヨタ・カムリは庶民でもなんとか手が届く車としてマレーシアのみならず東南アジアではあこがれの上級車。



マスタングかと思ったら昔のセリカGT・LBだった。30年位前の車だが、きれいに乗っている。



年代不明の三菱ミニキャブ。ワイパー片方無し、動いているのがビックリ。

旧車オンパレード

マレーシアでは車の価格がだいたい日本の倍。サラリーマンの平均給与は日本の1/2位なので感覚としてはパッソ・クラスが400万円!ということになる。しかし公共交通機関が発達していない為、車は贅沢品では無く、生活必需品であり、ほとんどの家庭に1台はある。
ローンを組んで購入したあと、20年~30年位乗り続けるのが普通なので、マレーシア国内ならどこでも、びっくりするほど古い車を見ることができる。
キャメロンハイランドで見た40年位昔のトヨタ・カローラ。こんな古い車は日本中の解体屋を探しても見あたらないだろう。ナンバーが付いているところを見るとまだ動いているらしい。写真は撮れなかったが初代ランサーもどこかで見かけたが、このような旧車は圧倒的に日本車が多い。がんばれ日本車!

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